な・つ

 最近、夏のイメージが、向こうから「これが日本の夏ですぜ~」と近づいてくる。こんな経験は、20数年の人生でもあまりなかった。全然知らない土地の、神社にお邪魔したら、たくさんの花火の残骸とすいかの食べさしがあった。友達から急な花火大会のお誘いが来た。予定が被ってて行けなかったけど。バイト後に夏祭りに行くことになり、人込みの中で出店やねぶた的な出し物の明り、月明かりに照らされながらブルーハワイのかき氷をつつく。キラキラするグッズを300円で買う。女の子たちのきれいな浴衣姿を眺める。帰りの電車から盆踊りの提灯が見えた。

 今日はたまたま小高い山になっている公園に登ったら、遠くで打ち上げ花火があがるのを見た。地元の人たちは知ってたみたいで、芝生の上で待機していた。「昔はもっときれいだったのにねえ」というお婆さん、双眼鏡を持ってる浴衣姿の子ども、通話しているお兄さん。

 思いがけないギフトのようでうれしい。当事者が楽しんでやっているイベントごとが、通りすがった他人をときめかせうれしい気持ちにさせるのは、不思議ですばらしい。

 ドレスコーズの『戀愛大全』というアルバムが大好き。そしてすごく夏の感じがする。経験していない夏の思い出が湧いてくる。経験した真夏の運動場の眩しさだとか疲れ果てた後のそよ風だとかも再生する。